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明るい夜間戦闘

第二次世界大戦のヨーロッパ上空で繰り広げられたドイツとイギリス、アメリカの知られざる夜間戦闘の歴史や航空機、技術の紹介しています。

ヒンメルベット

1940年10月16日、カムフーバーは少将に進級し、夜間戦闘機兵監としてドイツ本土の夜間防衛にさらに力を入れるのでした。レーダー邀撃の有望さを知ったカムフーバーが採用した新システムは「ヒンメルベット」(天蓋付きのベット)と呼ばれ、「フライア」警戒レーダー1基、「ヴュルツブルク」邀撃レーダー2基を用いるものでした。これに無線・灯火信号標識と指揮室が加わって1組とされました。

ヒンメルベットヒンメルベット」を構成する「ドレー・フライア」と「ヴュルツブルク」D型。ゲマ社「フライア」LZから発達したローレンツ社「ドレー・フライア」は全周の捜索が行え、最大探索距離は200kmでした。

ヒンメルベット」による夜間邀撃は、次のように進められました。

  1. 発進した夜間戦闘機は無線・灯火信号標識を確認しつつ、指定されたレーター設置空域で待機します。
  2. 最大感知距離が100〜120kmと大きい「フライア」レーダーが、進入する敵機を捕捉し、距離と方向を「ヴュルツブルク」レーダーに伝える
  3. 2基の「ヴュルツブルク」のうち1基は、敵機が30km前後に近づくと「フライア」から敵の追尾を引き継ぐ。もう1基は味方夜間戦闘機をつかんでいる。2基が捕捉中の敵味方の位置は、指揮室に伝えられる。
  4. 敵機の位置は赤灯、味方機の位置は青灯になって、「ゼーブルク」と呼ばれる、大型の机にはめこまれた地図表示式の磨りガラス上に、2人の操作員によって下方から投影される。両灯とも飛行機の行動の通りに移動する。
  5. 指揮室の管制官は会敵空域を予測して、夜間戦闘機にその位置を無線で指示。夜間戦闘機は指示通りに飛んで、敵機と接触する。

ヨーゼフ・カムフーバー少将1896年8月19日ドイツ空軍は、「ヒンメルベット」をサーチライト帯の前方、北海に面した区域に並べ、イギリス空軍爆撃阻止の第1戦とする策を決めました。
これは、「暗い夜間戦闘」で致命傷を与えられなくても、そのまま追尾して「明るい夜間戦闘」に移行できるという考えに基づいていました。
もちろんサーチライト帯に入った場合は、夜間戦闘機への誤射を避けるように高射砲部隊へ連絡将校が通報する手筈になっていました。夜間戦闘機の方にも、高射砲の射撃空域に入りかけると警報が出されました。

ヒンメルベット」の欠点は、レーダー3基を用いても、敵味方1機ずつしか把握できないことでした(のちに、2〜3機の戦闘機を同時誘導できるようになった)。したがって、敵爆撃機が大編隊で押し寄せれば、容易に「ヒンメルベット」の網を突破されてしまいますが、この頃のイギリス空軍にはそれだけの能力はありませんでした。

夜間戦闘機隊の増強

1940年の秋から夜間戦闘機隊は4個中隊分の増強を受けました。
まず、1940年10月1日に第3夜間航空団NJG 3)がフェヒタで編成され、司令部と第3夜間航空団第I飛行隊(I./NJG 3)が誕生しました。編成の詳細は以下の通り。

  • 第3夜間航空団第I飛行隊本部(Stab I./NJG 3)は第1訓練航空団第V駆逐飛行隊本部(Stab V(Z)./LG 1)から編成。
  • 第3夜間航空団第1中隊(1./NJG 3)は第1訓練航空団第13中隊(13./LG 1)から編成。
  • 第3夜間航空団第2中隊(2./NJG 3)は第1訓練航空団第14中隊(14./LG 1)から編成。
  • 第3夜間航空団第3中隊(3./NJG 3)は第1訓練航空団第15中隊(15./LG 1)から編成。

第1訓練航空団第V駆逐飛行隊(V(Z)./LG 1)はバトル・オブ・ブリテンで大損害を被った部隊で、使用機はBf 110でした。
1940年11月には第2夜間航空団第4中隊(4./NJG 2)が新設されました。基になったのはやはりバトル・オブ・ブリテンの影響で解散した第2駆逐航空団第1中隊(1./ZG 2)でした。

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メタデータ:

投稿者:IMAGEDRIVE
公開日時:2009年3月 4日 23:10 更新日時:2010年3月13日 03:23
URL:http://www.nachtjagd.org/history/1940/1940_10.shtml

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