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明るい夜間戦闘

第二次世界大戦のヨーロッパ上空で繰り広げられたドイツとイギリス、アメリカの知られざる夜間戦闘の歴史や航空機、技術の紹介しています。

長距離夜間戦闘機の不足

着実に装備を充実させるイギリス空軍が手を焼いたのは、ドイツ夜間戦闘機による「遠距離夜間戦闘」でした。爆撃機の離着陸時を攻撃されるばかりでなく、滑走路や施設にも攻撃を受け、たとえ侵入機が少数であっても、この損害は大きく、地上火器で攻撃しようにも味方撃ちの危険性がありました。

第2夜間航空団第I飛行隊(I./NJG 2)による「遠距離夜間戦闘」の経過は毎月の1〜3機の損失を戦果が上回り順調でしたが、戦力の少なさから目を見張る戦果とはなりませんでした。第2夜間航空団第I飛行隊(I./NJG 2)が1941年4月1日付で出した報告書によれば、その時の全装備機数はわずかに24機。しかも稼働機はたったの7機でした。
こうした戦力不足の要因の一つに、第2夜間航空団第I飛行隊(I./NJG 2)の主力機であるJu 88の夜間戦闘機型の生産数の少なさがありました。
1940年のJu 88の総生産数は2,184機。このうち戦闘機として引き渡されたJu 88C-2型は62機でした。夜間戦闘機以外にも沿岸警備や対艦船攻撃用にもまわさなければならないので、この生産数と型式の比率では、1個夜間戦闘中隊を維持するのがやっとでした。
夜間戦闘機にはJu 88以外にもDo 17Zもありましたが性能もいまいちで、Do 17Z-7とDo 17Z-10はわずか11機で生産中止。Do 215B-5もありましたが、こちらも性能がパッとしませんでした。
一方、Bf 110は生産数の60%が夜間戦闘機に割り当てられ、夜間戦闘機隊の装備機のほとんどを占めていましたが、長距離進攻を行うには航続距離が足りませんでした。

Ju 88の不足を嘆くカムフーバーは、1940年晩秋、「遠距離夜間戦闘」が戦果を上げ始めた頃から、国家元帥の空軍総司令官ヘルマン・ゲーリングに「遠距離夜間戦闘」を行う夜間戦闘部隊の増強を進言しました。年末にゲーリングはカムフーバーの進言を受け入れて、3個航空団への増強を約束しました。
しかし、空軍総参謀長ハンス・イェショネク大将が横槍を入れ、「このまま行けば、空軍はすべて夜間戦闘機隊になる」と皮肉り、カムフーバーがとりつけた約束を有耶無耶にしてしまいました。イェショネクの考えは空軍全体を代表するもので、ドイツ空軍は依然として攻撃第一主義で防御に目を向ける人間は少なかったのでした。

イギリス本土での健闘

イギリス地図第2夜間航空団第I飛行隊(I./NJG 2)は、2代目の飛行隊長カール・ヒュルスホフ大尉のもと、相互の団結力を高めてゆきました。
ヒュルスホフは東部イングランドの攻撃区域をイースト・アングリアリンカーンシャーヨークシャーの3つに分け、戦術を確立しました。隊員達は連日のように出撃をかさねて、各区域のイギリス空軍の基地の位置、状況をつかんでいきました。敵の発進間際、北海上空、着陸時の3段階で、数機ずつの夜間戦闘機がイギリス空軍爆撃機に攻撃を加えました。
ときおりイギリス空軍の夜間戦闘機の攻撃を受けましたが大きな障害にもならず、イギリス空軍爆撃機のすぐ側を飛ぶドイツ軍夜間戦闘機を味方機と間違えて、翼灯をつけて合図してくるほどの状態でした。イギリス空軍がIFF(敵味方識別装置)を用いても間隔が詰まりすぎて、地上からの判別は困難でした。
また機影の判別も困難で、Ju 88を「ウェリントン」、Do 17を「ハンプデン」と見誤る恐れもありました。

1941年7月29日の報告書によると第2夜間航空団第I飛行隊(I./NJG 2)の装備機は57機になっていましたが、可動機は29機と戦力の少なさは相変わらずでした。装備している機材はJu 88C-2、Ju88 C-4、Do 17Z-10でした。

第2夜間航空団第I飛行隊(I./NJG 2)の発足から1年、イギリス本土および北海上空の戦闘を続けるうちに、何人ものエースを輩出しました。
トップは14機撃墜のヴィルヘルム・バイアー曹長(最終撃墜数36機)、12機のハンス・ハーン少尉、11機のアルフォンス・ケスター曹長(最終撃墜数25機)、10機のヘルマン・ゾマー軍曹(最終撃墜数19機)、9機のパウル・ゼムラウ中尉(最終撃墜数46機)とクルト・ヘルマン曹長(最終撃墜数19機)、飛行隊長のカール・ヒュルスホフ大尉(最終撃墜数11機)も数機の戦果を上げました。

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投稿者:IMAGEDRIVE
公開日時:2009年3月22日 17:13 更新日時:2010年3月13日 20:54
URL:http://www.nachtjagd.org/history/1941/1941_02.shtml

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