1. メニューへ移動
  2. 本文へ移動

明るい夜間戦闘

第二次世界大戦のヨーロッパ上空で繰り広げられたドイツとイギリス、アメリカの知られざる夜間戦闘の歴史や航空機、技術の紹介しています。

ルールの戦闘

1943年前半のイギリス爆撃機兵団の大目標はドイツ工業力の集中地帯のルールでした。英側が「ルールの戦闘」と名付けて以後5ヶ月間にわたって実施した連続爆撃はランカスターの157機が主力で、合計442機によってクルップ社の工場を目標にした1943年3月5日〜6日のエッセン爆撃で火ぶたをきりました。
オーボエ」とH2Sを本格導入したイギリス爆撃機兵団の投弾は正確で、この日の爆撃でエッセンの650平方キロが壊滅しました。

可動機300機をこえる夜間戦闘機をすべて集中投入すれば爆撃機兵団にかなりのダメージを与える事ができることはわかっていました。戦力の集中投入は兵法の基本ですが、第XII航空軍団指令カムフーバー中将は、各夜間戦闘機はそれぞれの師団管区内だけで戦闘するように命じていました。

カムフーバー中将も戦力の集中投入をすれば、効果を上げる事はわかっていましたが、うまい夜間戦闘を行うには地上と上空の呼吸がぴったり合い、またその搭乗員がその空域に慣熟していることが必要でした。
さらに、もし受け持ち空域を留守にしたとき敵戦力の別動隊の奇襲を受ければ、すぐに取って返す訳にはいかないのでした。

1943年5月30日のケルン北部のブッパータールの夜間爆撃ではオランダから侵入したイギリス爆撃機657機に対して、抵抗を試みたのは第1夜間航空団NJG 1)の50機だけでした。
ルールはオランダ、北部ベルギーとともに第1戦闘師団の管区で、空中戦闘の担当は第1夜間航空団NJG 1)だけになっていました。
敵機侵入の報告を受けて、真っ先に戦闘空域に到着したのは第1夜間航空団第II飛行隊(II./NJG 1)のBf 110F-4が13機、Do 217J-2が3機。すべてFuG 202 リヒテンシュタイン B/Cを装備していました。

ハインツ-ウォルフガング・シュナウファー出撃したBf 110の1機に当時21歳のハインツ-ウォルフガング・シュナウファー少尉がいました。彼は23時51分に「ヒンメルベット」基地「ヒキガエル」の誘導空域にはいり、地上からの指示から高度3,500mに敵機と連絡を受けると索敵を開始しました。
レーダー手のバロー少佐の誘導に従い翌30日の0時45分、右上方200mに4発機を視認するとシュナウファーは後下方に回り込むと80mまで接近しました。
一斉射撃を加え左翼から火を発した爆撃機(スターリング)は0時48分に、ベルリン南方1.5kmの6138地点で撃墜を確認しましたシュナウファーとバローはこの夜さらに「ハリファックス」「スターリング」を1機ずつ撃墜し、計10機の夜間撃墜を記録しました。
この2ヶ月後の1943年7月に第1夜間航空団NJG 1)の中隊長、年末には飛行隊長、やがて少佐の司令に昇進し第4夜間航空団(NJG 4)の指揮を取り、夜間撃墜121機を記録して夜間戦闘機パイロットの頂点を極めるシュナウファーの初期の戦闘の一コマでした。

このようにドイツ空軍の撃墜記録は厳密な調査のうえになりたち、第2次世界大戦の参加各国でもっとも信頼性が高かったと言われています。
撃墜をした者は搭乗機、撃墜日時、敵機種、攻撃方法、撃墜状況、使用弾薬、証人(昼間では寮機、夜間では同乗者)などを記載した書類を隊長に提出する必要がありました。隊長がこれを検討したのちに空軍当局に送り、撃墜が承認される手順になっていました。
さらに撃墜者にはこの書類とは別に詳しい戦闘詳細書を作成する義務もありました。

1943年5月29日から30日のブッパータール邀撃で第1夜間航空団NJG 1)は22機の戦果を上げ、出撃数がわずか50機なのを考えると部隊の奮戦が伺われました。イギリス爆撃機兵団は「ハリファックス」10機を含む、4発爆撃機25機と「ウェリントン」10機の合計33機を失い損失は5%になりました。

またこの夜に第1夜間航空団第II飛行隊(II./NJG 1)のDo 217Jがサン・トロンを発進する際に、離陸後すぐ墜落する事件がおきました。これまでイギリス爆撃機兵団には護衛戦闘機はついてきていませんでしたが、ついに敵夜間戦闘機がドイツ占領下に姿を現したのだと基地は騒然になりました。

カテゴリ:

メタデータ:

投稿者:IMAGEDRIVE
公開日時:2009年6月20日 22:54 更新日時:2009年7月20日 23:21
URL:http://www.nachtjagd.org/history/1943/1943_06.shtml

関連記事一覧

  1. アメリカ陸軍第8航空軍のドイツ本土爆撃
  2. 夜間航空団の対重爆撃機迎撃
  3. 対重爆撃機迎撃による夜間航空団の損失
  4. H2Sの実践投入
  5. ハヨ・ヘルマンの単発夜間戦闘機隊
  6. ルールの戦闘
  7. リヒテンシュタイン装備の1943年の夜間戦闘機
  8. ハインケル He 219の初陣
  9. 暴かれたリヒテンシュタイン
  10. ウィンドウの実戦投入とドイツレーダー網の崩壊
  11. 第300戦闘航空団(JG 300)「ヴィルデ・ザウ」の創設
  12. 20世紀のゴモラの街
  13. ヴィルデ・ザウとハンブルクの戦い
  14. イギリスの報復と無差別爆撃の始まり
  15. ツァーメ・ザウ
  16. シェーネルトの対爆撃機用兵器
  17. ヒドラ作戦(ハイドラ作戦)
  18. シュレーゲ・ムジーク
  19. カムフーバーの更送
  20. ベルリン爆撃の開始
  21. 1943年のベルリン爆撃
  22. 1943年の総決算