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明るい夜間戦闘

第二次世界大戦のヨーロッパ上空で繰り広げられたドイツとイギリス、アメリカの知られざる夜間戦闘の歴史や航空機、技術の紹介しています。

第300戦闘航空団(JG 300)「ヴィルデ・ザウ」の創設

第300戦闘航空団(JG 300)「ヴィルデ・ザウ」のマーク1943年7月3日、都市上空で単発戦闘機による「明るい夜間戦闘」を提案したヘルマン少佐の目論見が実証されました。
敵機来襲の情報を得てると自らが先頭に立ち、5機のFw 190Aと7機のBf 109Gの戦力でミュンヘン近郊から発進しました。

上空待機するうちに、地上から敵の攻撃予定目標地域はデュースブルグからエッセンにかけてルール北西部との情報を得ました。
ヘルマン実験隊が目的地に近づくと前方の「ヒンメルベット」空域で「暗い夜間戦闘」が始まり、遠方で撃墜された敵爆撃機とおぼしき火の塊が落ちていきました。
敵パスファインダーが落とした目標指示弾「クリスマスツリー」の緑と赤の光が夜空に広がり、やや間をおいて焼夷弾が燃え上がりました。
当初の情報とは違いケルン南で焼夷弾の炎が広がりました。高射砲隊への事前連絡はしていませんでしたが、ヘルマン実験隊は突撃を開始しました。

Fw 190A-6ケルン上空ではサーチライトが輝き、高射砲が弾幕を張ってイギリス空軍の爆撃機兵団を待ち構えていました。
ヘルマン少佐のFw 190と僚機は空域に突入すると信号弾を撃ちましたが、地上部隊が気付いた様子はありませんでした。
サーチライトに眩惑され高射砲弾の炸裂で機体が揺れる中、地上の炎で敵爆撃機が黒く浮かび上がりました。ヘルマン少佐は「ランカスター」を補足するとすぐさま撃墜をしました。

この夜の迎撃による全戦果が32機。ヘルマン実験隊の戦果は12機、損失1機で全体の4割を撃墜しました。ヘルマン少佐はこの戦果をすぐベルリンへ報告書として提出しました。
1943年7月4日の朝、ヘルマン少佐へヴァイゼ上級大将から祝電が届き、ゲーリングなどはみずから彼のベルリン郊外の別荘に出頭せよとの命令が下りました。

午後、ゲーリングに会見したヘルマン少佐は
「我々は無線信号標識(ビーコン)の上空で待機し、そこから敵の目標都市を教えてもらって進撃、都市上空で敵の流れの中へ突入します。燃料の続く限り空戦し、切れれば手近の基地に降りて再出動するのです。」
と答えました。ゲーリングはこの戦法を承認し、正式に第300戦闘航空団JG 300)編成の命令書を与えました。
名称は昼間用の戦闘航空団JG)でも、任務はもちろん夜間空戦でした。そして「ヴィルデ・ザウ(荒くれイノシシ)」という、ぴったりのニックネームも決まりました。

また1943年7月6日にヘルマンはミルヒ元帥ら首脳の前で演説しました。
「私に必要な機材を補助していただければ、敵が空襲を1回かけるたびに、80機落としてごらんにいれます。」
「必要な機材は?」とミルヒが聞くと、
「いま15機あります。あと15機いただきたい」とヘルマン少佐は答えました。
ミルヒは部下に命じて、ヘルマン少佐の要望を答えるように伝えました。こうして装備数わずか30機の航空団が誕生したのでした。
第300戦闘航空団JG 300)は、いずれの戦闘師団JD)にも属さず、カムフーバーの第XII航空軍団(XII. Fliegerkorps)の指揮すら受けない、中部空軍(Luftwaffenbefehlshaber Mitte)直属の夜間戦闘部隊でした。

ヘルマン少佐は次の爆撃に備えて動き出しました。無線手を乗せない単座夜間戦闘機が最も苦手とするのは夜間の航法でした。
地上の無線指揮所は敵爆撃機編隊の動きを見て、敵が目指す都市を判断し、夜間戦闘機に教えていました。単座夜間戦闘機はその都市上空にたどり着くのが大変でしたので、なにかしらの目標が欲しいところでした。

ヘルマン少佐は都市を守る高射砲部隊に、敵のパスファインダーが投下されたら、閃光弾を撃つように依頼しました。
またサーチライト部隊には戦闘区域での全面的な協力のほかに、敵爆撃機群が上空を通過したらその方向に向けてサーチライトを水平に照射するように依頼し、第300戦闘航空団JG 300)はこの2つの明かりを目標に敵爆撃機に突撃するという算段でした。

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メタデータ:

投稿者:IMAGEDRIVE
公開日時:2009年7月 1日 21:38 更新日時:2009年7月 1日 21:51
URL:http://www.nachtjagd.org/history/1943/1943_11.shtml

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