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明るい夜間戦闘

第二次世界大戦のヨーロッパ上空で繰り広げられたドイツとイギリス、アメリカの知られざる夜間戦闘の歴史や航空機、技術の紹介しています。

ベルリン爆撃の終焉

第15回ベルリン爆撃

第15回は2月15日から16日の夜にかけて行われ、561機のアブロランカスター」、314機のハンドレページハリファックス」、16機のデハビランドモスキート」の計891機で行われました。
最大規模で出撃したイギリス空軍爆撃兵団は目標地点を厚い雲が覆っていたにも関わらず、ジーメンスシュタットを含むベルリン中心部と南西部に大きな損害を与えました。
第8集団に所属するの24機の「ランカスター」のフランクフルト(オーデル河)に対する陽動爆撃は失敗に終わり、他にも155の部隊が異なる目標に向けて攻撃をしかけましたが、26機の「ランカスター」、17機の「ハリファックス」の計43機、出撃機数の4.8%を失いました。

ベルリン爆撃の合間をぬって、イギリス空軍爆撃機は他の都市へも襲いかかりましたが、ドイツ空軍は「ツァーメ・ザウ」戦法で集結し、長時間攻撃を浴びせるドイツ夜間戦闘機体の銃火の前に損害は増えていきました。
イギリス空軍の爆撃機パイロット達は戦死の恐れから搭乗員の士気も次第に落ち、ドイツ上空へ到達する前に北海へ爆弾を投げ捨てる機すら出てきたと言われました。

2月19日から20日の夜にかけてのライプツィヒ爆撃には823機を繰り出しましたが、78機の出撃機数に対し損失が9.5%に及び、これまでの最高の損害を記録しました。
もちろん例外的なケースもあり、2月20日から21日の夜にかけて行われたシュトゥットガルト爆撃では、地上の戦闘誘導将校が北海上空を飛ぶイギリス空軍訓練部隊の大編隊を来襲機と見間違え夜間戦闘機をあらぬ方向へ導いたため、イギリス空軍爆撃機部隊の損失は598機中わずか9機、1.5%の少なさでした。
しかしこれとても敵の侵攻目標がはっきりするまでは夜間戦闘機に進路の指示を出してはいけない、という教訓をドイツ側に残してガードを固くさせることになるのでした。

第16回ベルリン爆撃

3月24日から25日の夜にかけて行われたイギリス空軍のベルリン連続空襲の最終回に発進したのは577機の「ランカスター」、216機の「ハリファックス」、18機の「モスキート」の計811機でした。
作戦成功を期して、訓練部隊から抽出の147機がパリ西方を牽制爆撃し、ほかに32機の「モスキート」がサン・トロン(シント=トライデン)フェンローなどの夜間戦闘機基地やデュイスブルクキールを襲って支援を行いました。

この日、北部ドイツでは北西から強風が吹いており対地速度は信じがたいほど速く、イギリス空軍爆撃兵団の搭乗員は夜間戦闘機と戦う前に、まず自然を克服しなければならなりませんでした。
したがってベルリン上空では集中爆撃ができず、爆弾は広範囲に拡散してしまいました。
ただ、マイナス条件は邀撃するドイツ側でも同じで、爆撃機よりも小柄な夜間戦闘機も強風にもまれて、十分な攻撃をかけることができませんでした。

イギリス空軍爆撃機兵団の本当の恐怖は帰路に起こりました。

強風に対抗して飛ぶため、投弾後にも関わらず機速は200km/hにも満たず、ドイツ高射砲部隊の格好の的になりました。その上、冬のドイツを覆い続ける厚い雲も、風に散らされてほとんどなく、高度を6,700mといつもより高く飛んでいましたが、なんの助けにもなりませんでした。
イギリスに帰り着いたのは739機。44機の「ランカスター」、28機の「ハリファックス」の72機が撃墜され、出撃機数に対する損失は8.9%になり、その3分の2は高射砲による損害でした。

墜落したランカスターこうして16回にも及ぶベルリン爆撃は、ひとまず幕を下ろしました。
延べ9,112機を繰り出したイギリス空軍爆撃機兵団の未帰還は497機。そのうち381機が「ランカスター」でした。
ほかにイギリスでの不時着・墜落などによる損失が72機あり、合わせて3,690名の搭乗員が戻りませんでした(うち戦死2,938名。残りは捕虜など)。
損害はアーサー・ハリス中将1892年4月13日イギリス空軍の予言を20〜30%上回り、ドイツを降伏させるきっかけになるどころか、損害に苦慮するのはイギリス側となりました。

参考資料

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メタデータ:

投稿者:IMAGEDRIVE
公開日時:2009年11月 8日 14:57 更新日時:2009年11月 8日 15:04
URL:http://www.nachtjagd.org/history/1944/1944_03.shtml

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