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明るい夜間戦闘

第二次世界大戦のヨーロッパ上空で繰り広げられたドイツとイギリス、アメリカの知られざる夜間戦闘の歴史や航空機、技術の紹介しています。

カムフーバー・ラインの崩壊

新ウィンドウ

1944年夏のドイツ機載邀撃レーダーの主力は「ウィンドウ」の影響を受けないFuG 220 リヒテンシュタイン SN-2bでしたが、改良が進んで最小探索距離が500mから300mへと縮まったため、FuG 212 リヒテンシュタイン C-1の小型アンテナ併用は不要となり、最新のFuG 220 リヒテンシュタイン SN-2cに移行していました。
ところがこのSN-2cが1943年5月のFuG 202 リヒテンシュタイン B/Cを付けたJu 88R-1のときと同様に、機体ごとそっくりイギリス空軍の手に渡ってしまいました。

1944年7月13日、第2夜間航空団第7中隊(7./NJG 2)のJu 88G-1は北海上空を哨戒の後、ラジオコンパスの故障から航法を誤って、ロンドン北東110kmのエセックス州ウッドブリッジに着陸しました。この機体にはSN-2とともに、イギリス空軍機に装備された「モニカ」後方警戒装置の電波を感知する「フレンスブルク」が装備されていました。
イギリス空軍はさっそく検分にかかり、SN-2cに対しては1.8mの新「ウィンドウ」を作り出し、「フレンスブルク」の逆探知から逃れるため「モニカ」を取り外す措置をとりました。
1944年7月末から実戦で使用された新「ウィンドウ」は「ネプトゥーン」にも効果があり、ドイツ夜間戦闘隊はSN-2の周波数選択の幅を4倍まで広げ、一時的な手当てを施しましたが、以前ほどの威力は望めませんでした。

オーバーロード作戦

1944年の春から夏にかけて連合軍は三方からドイツを攻めました。1944年4月13日に東部戦線でクリミア半島が陥ち、1944年6月4日には米軍がローマに入城、そして1944年6月6日に英米連合軍がオーバーロード作戦を決行しフランス北部のノルマンディに上陸しました。
ノルマンディへの連合軍上陸はドイツ夜間戦闘隊にとって大きな驚異でした。敵の進行が進めば、イギリス空軍の重爆撃機の夜間来襲を知る警戒レーダー網に穴が開く上に敵の戦闘機や攻撃機が進出してきて、基地へ攻撃をかけてくるからでした。

ドイツ上空にはすでに、増槽をつけて航続力を増したリパブリックP-47「サンダーボルト」、ロッキードP-38「ライトニング」がアメリカ陸軍第8航空軍の爆撃機を援護しつつ侵入していました。1944年に入ると、増槽の改良で航続距離を延ばしたノースアメリカンP-51「マスタング」がドイツ全土を行動半径内に収め、余力をかって空域哨戒や地上攻撃を開始しました。
ドイツ夜間戦闘機は、すでに第8航空軍に対する昼間邀撃には加わっておらず、日中は基地で休んでいましたが、そこをP-51に襲われる羽目になりました。
地上で撃破されるのを防ぐため、警報が入ると空中避退に移りましたが、哨戒中のP-51に見つかって撃墜されることもありました。しかし、P-51の主任務は爆撃機の援護で、地上銃撃は余技だったため受ける被害はまだ知れたものでした。

この状況を一変させたのが連合軍のノルマンディへの上陸でした。連合軍は上陸後ただちに飛行場を設営し、戦術攻撃が専門のアメリカ陸軍第9航空軍とイギリス空軍第2戦術航空軍が展開し、P-47やホーカータイフーン」などのヤーボを大量にドイツ本国の基地へ繰り出しました。
対戦闘機戦闘などとてもできない双発夜間戦闘機の各部隊は、装備機の分散、隠蔽に力をそそいで戦力の確保に努めましたが、連合軍の執拗な地上攻撃によって、少なからず被害を被るようになりました。

インベイジョン・ストライプのP-61 ブラック・ウィドウなおアメリカ陸軍第9航空軍は、1944年にイギリス本土の到着したノースロップ P-61「ブラック・ウィドウをフランスに持ち込んできました。アメリカ製のマイクロ波邀撃レーダーSCR-720を搭載したこの大型双発夜間戦闘機は1944年7月から活動を開始しました。
P-61は自機が装備するレーダーと強力な地上管制によって、ドイツ夜間戦闘機や夜間進攻する爆撃機をしばしば補足し撃墜しました。第9航空軍の2個夜間飛行隊を合わせて53機のドイツ機を撃墜(V-1を除く)しました。機種はJu 88、Bf 110、Do 217が過半数を占め、その多くが夜間戦闘機でした。

参考資料

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メタデータ:

投稿者:IMAGEDRIVE
公開日時:2010年9月 6日 22:52 更新日時:2010年9月 6日 22:58
URL:http://www.nachtjagd.org/history/1944/1944_07.shtml

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