1. メニューへ移動
  2. 本文へ移動

明るい夜間戦闘

第二次世界大戦のヨーロッパ上空で繰り広げられたドイツとイギリス、アメリカの知られざる夜間戦闘の歴史や航空機、技術の紹介しています。

FuG 202/212/220 リヒテンシュタイン

リヒテンシュタインはドイツ空軍で使用された機上搭載レーダーで、FuG 202 リヒテンシュタイン B/C、FuG 212 リヒテンシュタイン C-1、 FuG 220 リヒテンシュタイン SN-2、FuG 228 リヒテンシュタイン SN-3と4つのバリエーションがありました。

FuG 202 リヒテンシュタイン B/C

FuG 202 リヒテンシュタイン B/Cを装備したBf 110FuG 202 リヒテンシュタイン B/Cはテレフンケン社製で、周波数490MHz、出力1.5kw、探知距離200m〜3,500m、探知角70°の性能を持っていました。
1939年に電波利用のコースおよび高度計として開発されたリヒテンシュタイン Bから作られ、1941年8月にテスト成功後、9月にDo 215B-1に搭載して実戦テストを行いました。そのとき敵爆撃機6機を撃墜してレーダーとしての能力を証明しました。
1942年2月から1943年にかけて生産されました。「FuG 202系」はこの他、対艦用のFuG 202T リヒテンシュタイン BC/Tや精度向上のためにジャイロを併用したFuG 202U リヒテンシュタイン Uがありましたが、どちらも後に開発は破棄されました。

FuG 202 リヒテンシュタイン B/C初期型のレーダーであるFuG 202 リヒテンシュタイン B/Cは、機首から突き出した4本の支柱はさらに4本の支柱に分かれ、それぞれの支柱に2本のダイポールアンテナが付いていました。
合計32本のダイポールがついた「むしろ」のような形状をしたリヒテンシュタインは、75cm(周波数490MHzまたは低UHF帯)の波長を使用できました。

FuG 212 リヒテンシュタイン C-1

FuG 212 リヒテンシュタイン C-1とFuG 220 リヒテンシュタイン SN-2bレーダーを装備したBf 110G-4FuG 212 リヒテンシュタイン C-1もテレフンケン社製で、周波数420から480(もしくは490)MHz、重量約60kg、1942年5月にDo 17Z-10でテストされ、アンテナはFuG 202 リヒテンシュタイン B/Cのものを利用しました。
※中央の小さなアンテナがFuG 212 リヒテンシュタイン C-1、周囲の巨大なアンテナがFuG 220 リヒテンシュタイン SN-2b。

FuG 212 リヒテンシュタイン C-1Wは1943年にアンテナを4本の垂直ダイポールに変更し、探知角を120°に広げたもので、このため「Weitwinkel」(広域角)を示す「W」を付けています。

しかし、最大探知距離が2,000mと短かったために「FuG 220 リヒテンシュタイン SN-2b」と組み合わせて用いられ、最大探知距離が4〜10kmになったと言われます。
このほかFuG 212/2 リヒテンシュタイン C-2やその改良版で最大探知距離が12kmあり、火器用の自動照準装置である「リヒテンシュタイン-パウケ」として利用されたFuG 212/2 リヒテンシュタイン C-2/B&Eがありました。

イギリスはドイツのレーダーを妨害する専門部隊を結成し、1943年4月にJu 88R-1がイギリスに亡命した際に手に入れたFuG 202 リヒテンシュタイン B/Cを調査しました。
そうして改良されたウィンドウ(最初にウィンドウが発見された街にちなんで、ドイツ空軍はデュッぺルと名付けました。)は「FuG 202 リヒテンシュタイン B/C」を数週間無力化させるのでした。

FuG 220 リヒテンシュタイン SN-2

1943年以降、ドイツ空軍は動作が大きく改善され、90MHz(3.3m)の長周波数を用い、電子妨害の影響を受けにくいFuG 220 リヒテンシュタイン SN-2を配備し始めていました。しかし非常に巨大化した4本のアンテナ支柱が機首を占領し、さらに各アンテナ支柱に4つのダイポールアンテナを備えていたために、ヒルシュゲヴァイ(牡鹿の角)と呼ばれました。
この巨大なアンテナにより空気抵抗が大きくなり、機体によっては速度が最大で50 km/hも落ちました。

FuG 220 リヒテンシュタイン SN-2には5つのバリエーションがあったと言われて、最初のFuG 220 リヒテンシュタイン SN-2はテレフンケン社製で、送信、受信システムとともに対艦レーダーであったFuG 214 リヒテンシュタイン Sを利用して開発されました。
周波数73/82/91MHzの切り替え式あるいは91MHzのみともされており、後に37.5から118MHzの可変式になったとも言われます。探知距離は300(あるいは500)〜4,000m、探知角120°、重量約70kgでした。

FuG 220 リヒテンシュタイン SN-2a

FuG 220 リヒテンシュタイン SN-2aは、300〜400mの近距離の解像度を向上させたもので、周波数が73〜81MHzだったとされています。主翼の左翼に垂直ダイポールアンテナを付けて方位を探知し、そして右翼に水平ダイポールアンテナを付け高度を探知するシステムで、このアンテナシステムが「A」システムと呼ばれました。これが末尾の「a(A)」の意味でした。

FuG 220 リヒテンシュタイン SN-2b

FuG 212 リヒテンシュタイン C-1とFuG 220 リヒテンシュタイン SN-2bFuG 220 リヒテンシュタイン SN-2bは、FuG 212 リヒテンシュタイン C-1と併用するもので、アンテナ支柱に2列の垂直ダイポールアンテナを一組として、それを4組ほど機首に配置したドイツのレーダーアンテナとしてはよく知られる組み合わせでした。これが「B」システムと呼ばれました。
※しつこいですが中央の小さなアンテナがFuG 212 リヒテンシュタイン C-1、周囲の巨大なアンテナがFuG 220 リヒテンシュタイン SN-2bです。

FuG 220 リヒテンシュタイン SN-2c

FuG 220 リヒテンシュタイン SN-2cレーダーを装備したBf 110FuG 220 リヒテンシュタイン SN-2cはFuG 212 リヒテンシュタイン C-1を併用しないもので、1944年の春に開発されました。

しかし1944年7月13日、第2夜間航空団第7中隊(7./NJG 2)のJu 88G-1は北海上空を哨戒ののち、ラジオコンパスの故障から航法を誤って、ロンドン北東110kmのエセックス州ウッドブリッジに着陸しました。搭乗員はイギリスに間違って着陸したことに気がつかなかったので、レーダーやIFFを破壊する暇もなく、最新の装備一式が連合軍の手に落ちました。
イギリス空軍はさっそく検分にかかり、SN-2に対しては1.8mの新ウィンドウを作り出し、FuG 227 フレンスブルグの逆探知から逃れるため「モニカ」を取り外す措置をとりました。
これによりFuG 220の72、81、90MHzの周波数に対して妨害が可能になりましたが、まだいくつかの周波数は使用可能でした。

FuG 220 リヒテンシュタイン SN-2d

FuG 220 リヒテンシュタイン SN-2dレーダーを装備したBf 110G-4FuG 220 リヒテンシュタイン SN-2dはビームの幅を狭くして、ウィンドウに対して性能を向上させたもので、ダイポールアンテナが45°傾いてアンテナ支柱に取り付けられているのが特徴でした。また、このシステムは後方警戒レーダーとセットで使用されました。

大戦末期の開発されたレーダー

1944年末、前方に突出した支柱に、2本のダイポールアンテナを90°に交差したものを3つ装備したモルゲンシュタイン(明けの明星)アンテナが開発されました。
これはJu 88の機首に十分収まるほど小さく、円錐の木製カバーに覆われていました。のちにこれはFuG 228 リヒテンシュタイン SN-3として開発されましたが、十分に供給されませんでした。

また連合軍から捕獲した共鳴空洞磁電管をベースにした9cmの波長を利用したFuG 240 ベルリンを開発しましたが、実戦では使用されませんでした。

連合軍の対抗手段

1943年夏から初期のFuG 202 リヒテンシュタイン B/Cと FuG 212 リヒテンシュタイン C-1に対する妨害・探知が可能でした。今日、チャフと呼ばれる”ウィンドウ”を用いて数ヶ月間FuG 202 リヒテンシュタイン B/Cと FuG 212 リヒテンシュタイン C-1の機能を麻痺させました。
1944年末から1945年初めにはFuG 220 リヒテンシュタイン SN-2も完全に封じ込められました。

しかしドイツの夜間戦闘機に最も危険だったのは、モスキートが装備するセレイトでした。セレイトFuG 202 リヒテンシュタイン B/C、 FuG 212 リヒテンシュタイン C-1、 FuG 220 リヒテンシュタイン SN-2が発する電波を探知することで、夜間戦闘機を追跡することができました。

参考資料

カテゴリ:

メタデータ:

投稿者:IMAGEDRIVE
公開日時:2009年5月15日 23:56 更新日時:2010年3月16日 23:44
URL:http://www.nachtjagd.org/technology/radar/luftwaffe/lichtenstein.shtml

関連記事一覧

  1. FuG 227 フレンスブルク
  2. FuG 202/212/220 リヒテンシュタイン